拠点病院

相談支援センター

知っていますか?

     

がんと診断されて初めて、「どの病院で治療を受けたらいいのか」「医療費が心配」など、がんに関する情報を探す人が多いというのが実態と言われています。実は、全国にある「がん診療連携拠点病院」には「相談支援センター」が配置され、あらゆる質問や相談に応じています。

 

■ “生きる力”与える支援体制の強化を

 

突然、「がん」と告げられた患者のつらさは計り知れません。

将来への“不安”や“絶望”に加え、仕事や経済的な問題など、心の痛みや悩みは多岐にわたります。

 

がんは1981年から日本人の死亡原因の第1位を維持し続けています。

ですが、医学の進歩によって、6割近い人が治る時代になってきています。がん治療体制の強化はもちろん、“生きる力”を与える支援体制の充実をもっと図ってほしいと望んでいます。

 

がんは身近な人に何でも話すことや、担当医と信頼関係を築き、納得しながら治療を進めることが何より大切だと思います。しかし、「身近に相談できる人がいない」「主治医以外と話したい」など、どこに相談すればよいのか迷う人も多いのが現実です。

 

こうした中で、力強い味方になっているのが、がんについて何でも無料で相談に応じてくれる「相談支援センター」です。病院によって名称はさまざまですが、全国のがん診療連携拠点病院(397施設)全てに設置されています。

 

この拠点病院は、全国どこでも質の高いがん医療が受けられるよう、厚生労働大臣が指定した病院で、厚労省のホームページなどから探すことができます。

多くのセンターでは、がんに詳しい看護師や生活全般の相談ができるソーシャルワーカーなどが担当しています。

 

拠点病院で治療していない人からの相談や、他の拠点病院についての相談なども受け付けています。

診断や治療の判断はできないが、「どの病院を受診したらいいか分からない」「がんが疑われると言われて不安」「診断や治療についてもっと詳しく知りたい」「医療費はいくら掛かるのか」など、がんに関するさまざまな質問に答えてくれます。相談は同センターを訪れるか、電話でも可能です。

 

■患者の35%にしか知られてない

 

ただ、相談センターの存在を知らない人が多く、課題は認知度の低さです。

がん患者に限らず、幅広い層への広報活動が必要ではないでしょうか。国立がん研究センターが行った相談支援センターの認知度調査によると、がん専門病院で外来通院中のがん患者に聞いたところ、同センターの存在を知っていた人はわずか35%で、65%の患者が知らなかったそうです。

 

患者や家族が安心して納得できる医療や支援を受けられるようにしなければなりません。

たとえ、がんになっても苦しむことのない社会を築くため、サポート体制の強化を急ぐべきです。

 

一方で、相談で多いのは、在宅医療に関する質問や、がん治療、転院、医療費・生活費などに関するものです。同センターは今後、相談用個室の整備や相談専用の直通回線の設置、がんに関する参考図書や冊子の充実なども必要だと思います。

このほか、がん経験者によるサポートなど、患者のための相談支援体制の充実にも期待は大きいのではないでしょうか。