■がんに関する

     意識調査

     (内閣府)


がんに対する恐怖心74%超

 

内閣府が2015年1月に、がんに関する意識調査の結果を発表していますが、非常に興味深い内容です。


がんのことをよく知らない日本人の姿が、くっきりと浮き彫りにされていたからです。

 

調査は昨年11月に成人男女3000人を対象に面接方式で行われたものです。

 

がんの印象は「こわいと思う」が74.4%で、がんに対する恐怖心は国民共通といえます。しかし、がん予防のために日ごろから実践していることを聞いたところ、がん検診の受診率は40%程度へと上昇傾向にありますが、欧米諸国と比較すると依然として低くとどまっています。理由の第1位は「受ける時間がないから」が48%を占め、まだまだ予防・早期発見への意識の低さが伺えます。

 

治療と仕事の両立困難65%

 

一方、がん治療と仕事の両立が依然困難とみられている実情も浮き彫りになりました

がん治療や検査のため、2週間に1回程度、通院しながら働く環境が整っているか聞いたところ「そう思わない」「どちらかといえばそう思わない」の回答が計65.7%に上っています。

 

厚生労働省は10年の国民生活基礎調査を基に、働くがん患者を32万5千人と推計しています。今回の調査結果から、仕事と治療の両立には職場の理解が何より重要であるといえます。

 

がん治療と仕事の両立が難しい理由は「代わりに仕事をする人がいないか、頼みにくい」が22.6%で最多。「職場が休みを許すかどうか分からない」(22.2%)、「体力的に困難」(17.9%)、「精神的に困難」(13.2%)、「休むと収入が減る」(13.1%)の順となっています。

 

医療用麻薬「使いたい」7割

 

このほか、がんの痛みを和らげるための医療用麻薬の使用を医師から提案された場合に、「使いたい」と考えている人の割合は、72.3%にも上っていました。

また、5割を超える人が医療用麻薬を「効果的」と捉えており、その一方で、副作用や依存症を懸念する意見も目立っています。

 

医療用麻薬について質問したのは今回が初めてで、「使いたい」が41.3%、「どちらかといえば使いたい」が31.0%を占めました。

 

医療用麻薬の印象(複数回答)について聞いたところ、「効果的だと思う」が55.7%で最も多く、続いて「安全だと思う」の52.8%と好意的な受け止めが半数を超えました。これに対し、「だんだん効かなくなる」(37.1%)といった声や、「副作用が強い」(15.3%)などの否定的な回答もありました。

 

 

 

医療現場では、がんの痛みを緩和するためモルヒネなどが使用されています。効果的な緩和ケアを進めるためにも重要な調査結果と言えます。